『えほう=恵方・兄方・吉方・得方』と漢字に書くが、漢和辞典には無くて、国字である。
大辞典によると、『その年の縁起の良い方角。その年の干支によって定め、歳徳神(としとくじん)の宿る方角。明きの方。また陰陽道が日本に入る以前は、その前年の冬、最後の雷が鳴り収まった方角を、次の年の良い方角と認める方法があったらしい。』
『恵方神=歳徳神』
浄瑠璃・淀鯉出世滝徳。下「悦びの幣帛をあげ、参りおさむる八はた山、此浪花津のえほう神、民安全こそめでたけれ。」
京都の民俗の本に、正月には『歳徳さん・歳神さん・宝来さんなどといって、床の間・台所などに米俵・桶・一升枡に五葉の一本松を立て、鏡餅などを供えて祀るが、歳徳棚の形をとるところではその年の明きの方角(恵方)に向けて祀る。』のである。
高島易断の本には『歳徳神の方位は一ヶ年の吉方で万事に用いて大吉となる。初詣でをこの方にすれば家業繁盛の基となる。あきの方・丙の方』
『方位吉凶図の中心が一白で、五黄が南、歳徳がやや東、つまり南南東の方角が今年の恵方』とかいてある。
テレビでは、節分に恵方に向って、恵方巻きという太い巻ずしを一気に食べると、今年の運勢が良い、とかで大阪の人たちは、我も我もと太い巻き寿司に食らいついているのである。余り良い図ではない。これが関東にも波及しそうである。寿司屋の商法ではないだろうが、科学的根拠もない儲ければ良い主義の無責任宣伝は止めて貰いたいものである。
鶯梅であるが如く。
時を感じて儚いものであるがゆえに大事に生きていきたい。
PR